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自治体への営業方法を8ステップで解説|民間営業との違いと進め方

「自社の商品やサービスを自治体に販売したい」「官公庁への営業を始めたいが、何から手を付ければよいか分からない」

自治体への販売は、商品の魅力を伝えるだけでは成立しません。担当部署や予算を調べ、庁内検討と調達手続きを経る必要があります。

また、自治体の契約は競争入札だけでなく、条件によっては随意契約もあります。

本記事では、自治体営業と民間営業の違いを整理したうえで、自治体へ商品・サービスを販売するまでの基本的な流れを8つのステップで解説します。避けたい営業方法や調達時の注意点も紹介します。

自治体営業と民間営業は何が違う?

5つの観点から比較する

民間営業(BtoB)も自治体営業(BtoG)も顧客の課題に応える点は同じですが、購入に至る仕組みが異なります。

比較項目民間企業への営業(BtoB)自治体への営業(BtoG)
提案先企業の担当部門や購買部門商品が関係する行政課題を所管する部署
予算企業の事業計画や購買予算に基づく会計年度、予算科目、既存事業などとの関係を確認する
購入判断社内稟議・決裁などによって判断所管部署の検討に加え、案件によって予算・契約担当等が関与
契約手続き企業ごとの購買規程や取引条件に基づく法令や自治体の契約規則に基づく調達手続きが必要
時間軸案件によって短期・長期に分かれる既存予算で進む場合も、次年度以降の予算化を要する場合もある

重要なのは、自治体では「商品を使いたい」という判断と、「実際に購入できる」という判断が必ずしも一致しないことです。

例えば、人事担当部署が研修に関心を示しても、予算・時期・契約方法が整わなければ発注に至らない場合があります。

自治体営業は「時間がかかる」と決めつけない

「民間は即決、自治体は遅い」とは限りません。自治体でも既存予算や契約条件が整えば、年度途中の調達が可能な場合があります。

違いは単純な意思決定の速さではなく、予算の使い方、説明責任、契約手続きが制度的に定められていることです。

基本構造については、関連記事「BtoGビジネスとは?」でも紹介しています。

自治体営業の基本的な流れは8ステップ

自治体営業は、まず行政課題と自社商品の関係を整理し、提案先や予算を調べてから商談・調達へ進みます。

ステップ行うこと主な確認ポイント
STEP1商材と行政課題を整理する自社商品はどの行政課題の解決につながるか
STEP2対象自治体を調べるどの自治体に関連する政策・事業があるか
STEP3所管部署を特定するどの部署がその課題や事業を担当するか
STEP4計画・予算・既存事業を確認するどの事業・予算・時期で検討され得るか
STEP5担当部署へ提案する行政上の必要性と導入条件を説明できるか
STEP6庁内での検討に対応する仕様・費用・実施体制などの追加確認に対応できるか
STEP7調達手続きを確認するどの契約方法・選定手続きが適用されるか
STEP8契約・納品を行う必要書類、納品・検収、請求の条件は何か

この8ステップは一般的な流れです。自治体や案件によって工程の順序が前後したり、入札公告への参加から始まったりする場合もあります。

STEP1〜4|自治体に提案する前の調査

STEP1|自社の商品を「行政課題」に置き換える

最初に、商品の機能や価格よりも、自治体にとっての必要性を整理します。

商品・サービス関連する行政課題の例
生成AI・DX研修職員のデジタル人材育成、行政事務の効率化
防災用品地域防災、災害時の備蓄体制の整備
健康増進サービス住民の健康づくり、健康施策の推進
学校向けICTサービス教育環境の整備、学校業務の効率化

例えばAI研修なら「時間短縮」だけでなく、「職員の事務負担を減らし、住民対応に使う時間を確保する」という行政目的との関係を説明します。

STEP2|提案対象となる自治体を調べる

自治体ごとに重点施策、既存事業、予算状況は異なります。人口規模だけで販売可能性を判断することはできません。

総合計画、個別計画、事業概要、過去の調達実績などの公表情報から、商品の用途と関連する施策を確認します。

大切なのは、商品の用途と自治体の行政目的が一致する可能性を、公表資料から確かめることです。

STEP3|担当する所管部署を特定する

対象自治体が見つかったら、その商品・サービスに関係する部署を調べます。

例えば、研修でも職員向けなら人事・研修担当、学校教職員向けなら教育委員会など、提案先が変わります。

確認したいのは、部署の名称だけではありません。

  • 組織図: 自治体にどのような部署があるか
  • 事務分掌: 各部署が何の業務を担当しているか
  • 事業概要: 実際にどのような施策を実施しているか

※部署名や担当範囲は自治体によって異なります。

代表電話へ問い合わせる場合も、「どなたでもよいので営業の担当者を」という聞き方より、商品に関連する事業や担当業務を具体的に示して、所管部署を確認する方が話を進めやすくなります。

STEP4|自治体の計画・予算・導入時期を確認する

担当部署が分かったら、どのような計画や予算に基づいて導入が検討されるかを調べます。

主な確認資料は、総合計画、個別計画、当初予算、補正予算、事業概要などです。

自治体の会計年度は原則4月から翌年3月までです。年度内に購入できる案件もあれば、次年度以降の予算措置が必要な案件もあります。

例えば、担当部署が研修の必要性を認識していても、今年度の研修計画や予算に含まれていなければ、次年度の実施に向けた検討となる場合があります。

次年度案件では予算編成を踏まえた情報提供が重要になることもありますが、時期は自治体・案件によって異なります。

STEP5〜6|担当部署に提案し、庁内検討に対応する

ホワイトボードの前で説明するビジネスパーソン

STEP5|行政の判断材料になる提案を行う

所管部署への提案では、民間向けの営業資料をそのまま渡すのではなく、自治体の担当者が庁内で必要性を説明できる内容にすることが重要です。

提案資料には、少なくとも次のような要素を整理しておくとよいでしょう。

  1. 行政課題との関係: どの課題や施策に対応するのか
  2. 対象・実施内容: 誰に、何を、どの範囲で提供するのか
  3. 導入効果: 何が改善され、どのように確認できるか
  4. 費用: 導入費用と継続的に必要となる費用
  5. 実施体制・実績: 誰が提供し、品質や履行をどう確保するか
  6. 継続性: 導入後の運用やサポートをどう行うか

職員研修であれば、対象人数や所要時間、実施形式なども判断材料です。

価格の安さや商品の優秀さだけを強調するのではなく、自治体として調達する必要性と条件を伝えることが重要です。

STEP6|庁内での検討と追加確認に対応する

担当者から好意的な反応を得られても、それだけで購入が決まったわけではありません。

自治体側では、上司や関係部署との調整、予算の確認、仕様の整理などが必要になる場合があります。

その過程では、例えば以下のような追加確認が発生します。

  • 提供する商品の仕様やサービスの範囲
  • 購入数量・受講人数・対象施設
  • 実施時期や納期
  • 見積金額と費用の内訳
  • 他の方法・製品との比較に必要な資料
  • 導入後のサポート体制

不足情報や次の確認事項を整理します。庁内決裁や正式な調達手続きは省略できません。

STEP7〜8|調達方法を確認し、契約・納品へ進む

契約書に署名する手元

STEP7|案件に適した調達手続きを確認する

購入の必要性が検討された後は、自治体の法令・規則に基づく調達手続きが必要です。

自治体における主な契約方法には、次のようなものがあります。

方法概要
一般競争入札原則として広く参加を募り、所定の条件に基づいて契約相手を決める方式
指名競争入札一定の条件の下で自治体が事業者を指名し、競争を行う方式
随意契約法令上の要件を満たす場合に、競争入札によらず契約相手を選定する方式

また、事業内容に応じて、企画内容や実施能力などを評価するプロポーザル方式が使われる場合があります。プロポーザルは事業者の選定手法であり、それ自体が独立した契約方式というわけではありません。

ここで注意したいのは、企業が希望する契約方式を自由に指定できるわけではないという点です。

例えば随意契約には、地方自治法および地方自治法施行令などに基づく適用条件があり、自治体側による判断が必要です。契約の性質や目的、金額、価格の妥当性などを踏まえて手続きが検討されます。

「随意契約にしたい」という希望だけで手続きを決めることはできません。

詳しくは、関連記事「随意契約とは」「自治体プロポーザルとは」で解説します。

STEP8|契約手続きを経て納品・役務提供を行う

必要な調達手続きが進み、契約相手が決定したら、自治体の指示や契約条件に従って履行に進みます。

案件によって異なりますが、見積書や仕様書の確認、契約書の取り交わし、発注、納品・役務提供、検収、請求といった手続きが発生します。

契約前の提案内容と実際の提供内容に相違が出ないよう、仕様、期限、成果物、支払条件などを確認することが重要です。

自治体営業で避けたい5つの進め方

特に、次の5つの進め方には注意が必要です。

1. 手当たり次第に電話をかける

所管部署の見当を付けずに電話を重ねても、担当外の部署を案内されるだけで終わる場合があります。

まず行政課題と担当事業を調べ、問い合わせの目的を明確にすることが重要です。

2. 担当部署を調べずに提案する

「市役所に売りたい」と考えるだけでは、商品を利用する部署に届きません。

自治体の組織図や事務分掌を確認し、提案内容と所管業務が一致しているかを確かめる必要があります。

3. 予算年度や検討時期を無視する

担当者に必要性を感じてもらえても、購入可能な予算がなければ、すぐに発注できない場合があります。

今年度の調達なのか、次年度以降の予算化を検討する案件なのかを区別することが大切です。

4. 商品の良さだけを説明する

「高性能」「便利」「他社より安い」という説明だけでは、行政として購入する理由が十分に伝わらないことがあります。

解決する行政課題、導入対象、期待される効果、費用、実施体制を整理して提案する必要があります。

5. 「自治体への販売=入札」と思い込む

競争入札は代表的な調達方法ですが、それだけが自治体との契約方法ではありません。

案件によっては随意契約が認められる場合もあり、プロポーザルなどの選定手法が用いられる場合もあります。適用条件を確認せずに選択肢を一つに絞るのは適切ではありません。

こうした営業上の難しさについては、関連記事「官公庁営業はなぜ難しい?」でも詳しく紹介します。

自治体への販売は入札だけではない|契約方法の検討が重要

自治体への販売では、行政課題・担当部署・予算だけでなく、競争入札以外の調達方法も含めて検討する必要があります。

随意契約という選択肢もある

随意契約とは、法令で定められた条件に該当する場合に、競争入札によらず契約相手方を選定して契約する方法です。

一定の金額範囲内や、契約の性質・目的が競争入札に適さない場合など、複数の類型があります。

ただし、随意契約は企業が希望すれば利用できるものではありません。適用の可否は、個別の契約内容と法令・規則に基づいて自治体側が判断します。

そのため、自社の商品・サービスについて競争入札以外の可能性を検討する場合も、制度の一般知識だけでは判断しきれないことがあります。

販路開拓の工程を自社だけで設計するのが難しい場合

自治体への販売を初めて検討する企業にとって、行政課題の整理から対象自治体の調査、所管部署の特定、予算・調達方法の確認までを、自社だけで進めるのは容易ではありません。

入札参加支援と自治体への販路開拓支援では、対応範囲も異なります。

外部の支援を検討する際には、市場調査、提案先の整理、提案内容の設計、営業活動の支援など、どの工程まで対応するのかを確認するとよいでしょう。

支援内容の違いについては、関連記事「入札コンサルタントとは」でも解説します。

自治体への営業方法に関するよくある質問

Q. 自治体へ営業する場合、最初に何を調べればよいですか?

まず、自社の商品・サービスがどのような行政課題に関係するかを整理します。そのうえで、自治体の計画や事業内容、担当部署、関連する予算の情報を調べると、提案の方向性を具体化しやすくなります。

Q. 自治体の担当部署はどう探せばよいですか?

自治体の公式サイトに掲載されている組織図、事務分掌、事業案内などを確認します。部署名だけで判断せず、その部署が何の業務を担当しているかを見ることが重要です。所管が不明な場合は、代表窓口などで担当事業を示して確認します。

Q. 自治体への提案はいつ行うのがよいですか?

一律の最適時期はありません。既存予算での購入を想定する場合と、次年度の新規事業として予算化する場合では、検討の進み方が異なります。自治体の会計年度や予算編成状況、商品の導入時期を確認したうえで判断する必要があります。

Q. 自治体への販売は入札以外でも可能ですか?

可能な場合があります。法令で定める要件を満たせば、随意契約による調達が行われることもあります。ただし、どの方法が適用されるかは案件ごとの判断であり、企業側が自由に選べるわけではありません。

自治体への販路開拓・随意契約の可能性についてご相談ください

自治体営業では、商品・サービスの魅力だけでなく、行政課題、所管部署、予算、検討時期、調達手続きといった複数の要素を整理する必要があります。

株式会社ドリプラでは、官公庁・自治体への商品・サービスの販売を検討する企業に向けて、販路開拓や営業支援を行っています。

「自治体に販売したいが、何から始めればよいか分からない」

「自社の商品を、どの自治体・部署へ提案すべきか相談したい」

「競争入札以外の方法で販売できる可能性を知りたい」

こうした企業様に対し、商品・サービスの特性や行政ニーズを踏まえ、提案先・販売時期・調達方法などの観点から可能性を整理します。

自治体への販売方法は、競争入札だけではありません。

新たな公共市場への販路開拓を検討している企業様は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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